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パーキンソン病の正体とは何か

パーキンソン病の治療方法

今までパーキンソン病の症状に対して、様々な治療方法が実践されてきました。ここでは、薬療法・遺伝子療法・食事療法・外科的手術…いろいろな側面からの治療方法を紹介したいと思います。

薬物療法

パーキンソン病の原因として、ドーパミンの減少があります。単純に考えるとすれば、ドーパミンを投与することによって、パーキンソン病は改善できると思われるかもしれません。しかし脳には、脳に対して有害と思われる物質をシャットダウンする働きがあります。つまりドーパミンは、脳内で有害物質と認識され服薬できないのです(服薬してもあまり効力を発揮しない)。

そこで使われているのが、L-ドーパ(L-DOPA)という物質です。L-ドーパは服薬することで、小腸から吸収され血管内に取り込まれます。血液中に取り込まれたL-ドーパは、そのままでは様々な酵素によって分解され効力を失ってします。しかし、L-ドーパを分解させないように、分解酵素をシャットダウンする物質を一緒に服薬することで、L-ドーパの効力を活かし続けることができます(薬=ベンゼラジド・カルビドパのどちらか一方を服薬)。そして、L-ドーパ+ベンゼラジド・カルビドパのどちらか一方を服薬することで、L-ドーパだけの効力と比較すると4~5倍もの効力に結び付くのです。どちらにせよ、L-ドーパはパーキンソン病に対する薬剤の中では、最も効果の強い薬剤といえます。

遺伝子療法

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みなさんは遺伝子療法の概念をご存知でしょうか。「疾病の治療を目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」を意味します。遺伝子療法は、ガン・エイズなど生命を脅かす疾病に対して様々な有用性が試されており、実際に部分的な疾病に対して非常に有用な効力を発揮しているものもあります。そして最近では、パーキンソン病に対する治療法の1つとして、幹細胞移植などの遺伝子療法が注目を浴びている状況にあります。現在、パーキンソン病に対する遺伝子療法として、2つのアプローチが行われています。

  1. 対症療法的アプローチ=L-ドーパ薬物療法より効果的にドーパ濃度を上げるため、ドーパミン合成酵素遺伝子を用いる方法
  2. 神経保護療法的アプローチ=ニューロン保護作用をもつ神経栄養因子の遺伝子を用いる方法で、パーキンソン病の進行を遅らせようとするもの。(両遺伝子療法は、L-ドーパ薬物療法の長期使用よる薬効の減弱・その他の副作用を回避できると言われています。)

現在の遺伝子療法は、ドーパミン合成酵素遺伝子・神経栄養因子遺伝子の2つが行われています。そして、パーキンソン病は数多くの神経変性疾患の中でも最も遺伝子療法に適していると言われており、今後いろいろな遺伝子療法が期待されています。

食事療法

パーキンソン病の食事療法として、腎不全治療の一環にも行われている低蛋白食療法があります。しかし、パーキンソン病患者への低蛋白食療法は、すべての患者に当てはまるわけではありません。パーキンソン病患者は症状の改善を図るため、いろいろな薬の種類を量・服用時間などをこまめに変えて処方しなければなりません。

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薬の服用によって、改善の兆しが見受けられる患者には、低蛋白食療法をする必要はありません(動作が鈍くならない)。あくまでも、薬の処方で改善が見られない患者のみに行われる療法です。低蛋白食療法は、朝食・昼食の蛋白質の量を減らし、夕食に減らした蛋白質を一気に摂取する療法です。蛋白質はアミノ酸から出来ています。アミノ酸を多く摂取し過ぎると、パーキンソン病に有効薬であるL-ドーパと競合し効力が減ってしまいます(ドーパミンの減少)。

つまり、L-ドーパと競合する蛋白質の量を減らすことよって、少しでも日中の動作に支障をきたさないようにするのに低蛋白食療法が行われるのです。もちろん、低蛋白食療法は自分勝手に行うことはできません。自分勝手にしてしまうと、余計にL-ドーパの効き目が薄れてしまう結果になります。必ず、神経内科専門医の指示に従って行うようにしてください。

外科的手術

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以前、パーキンソン病の外科的手術は凝固術と決まっていました(凝固術=脳内の一部を凝固することによってパーキンソン病を改善)。しかし、凝固術は神経組織を損傷させる恐れがあるのも実情でした。(脳のどの部位を、どれくらいの大きさで、どのような形で凝固するかによって、不十分であれば麻痺などの合併症を伴う損傷)。

そして最近では、神経内科チーム+脳神経外科チームが組んで、パーキンソン病に対する新たな外科的手術が行われるようになりました。それを、脳深部電極刺激療法DBS(deep brain stimulation)と言います。脳深部電極刺激療法DBSは、一次手術で脳内に電極を埋め込み、二次手術で胸部に刺激装置を埋め込むといった施術方法です。(胸部からの刺激を脳に与え、動きをスムーズにさせる方法)。

脳深部電極刺激療法DBSは、保険適用も認可されています(原則的に自己負担を伴いません)。脳深部電極刺激療法DBSは、パーキンソン病を発症した誰にでも出来るというわけではありません。対象となる場合、脳血管障害を発症していない・L-ドーパなどの薬剤だけでは身体のコントロールが困難な人・薬剤による副作用が激しい人等々、が挙げられます。